29歳の憂鬱〜東京:三軒茶屋在住、OL大崎ハルナの話〜vol.07




今日は10月1日。

いつもは通勤にこなれた社会人が
朝の時間帯の満員電車に乗っているのに、
今日は何故か初々しいリクルートスーツの人が目立つ。

(あ、今日は内定式の日なのね・・・)

ハルナの会社も、
もちろん内定式は10月1日だが、
外回りの仕事をしていると、
社内の行事には疎くなるもの。

白シャツの第一ボタンまできっちり閉めて、
長い黒髪を平凡なゴムでひとつ結びにしている
内定式に向かうであろう女子大生をサラリーマンの肩越しに見ながら、

(私も、あんな時代があったんだなぁ)

と、なんだか、
朝から感慨深い気持ちになっていた。

というのも、
先日の片岡菜々子と君島菜月との
3人のランチで感じたオンナの見えない壁に、
ハルナは結構ダメージを受けていて、

あれから、

結婚するのか?
結婚しないのか?を、
結論が出ないとわかっていながら、
ぼんやり考える日が続いているからである。

ハルナも菜々子も菜月も、
今見ている女子大生のように
同じようにリクルートスーツを着ていた時代があって、
入社式の前には一緒に会社に着ていく服を選びにいったりと、
同じ道を歩いていたと思ったのに、

気づけば、
結婚・出産というイベントで
何かお互い分かり合えない壁が出来た。

その壁が何なのか?
上手く言葉に出来ないのだけれど、

「自分はどうしたいのか?」
「自分はどこに向かいたいのか?」

自問自答しても、
答えが出ない自分に
ハルナはイライラしていたのだった。

「おはようございますー!!」

会社に着き、
元気にハルナは挨拶をする。

この5年の間で、
プライベートで何かあったとしても、
仕事には一切影響を出さないように、
自分を調整する術を身に着けたから、

心はモヤモヤしていても、
会社に入っていくハルナの表情は笑顔だった。

「大崎、ちょっといいか?」

席に着いて早々、
廣田部長に声をかけられた。

先日のあつ美事件以来だ。

(今度は何だろう??)

そう思いながらも、
廣田部長に付いていくと、
そこで部長から言われた一言は、
思いもよらない言葉だった。

「大崎、来期、
チームを持たないか?

今はメンバーを持っていると言っても、
役職を持たない形でメンバーをサポートしているだろう?

今いる部署から、
大崎が見ているメンバー全員、
独立するような形で新しい部署を
一つ作ろうと思っているんだけど、

お前、マネージャー職やらない?」

(・・・・・・)

(・・・・・・)

(・・・・・・)

(ん?これは昇進の話か??)

事態が飲み込めず、
反応する言葉出てこないハルナ。

そして、
その状況を察したのか、
廣田部長がこう付け加えた。

「もし責任ある仕事がとか、
残業が増えるかもしれないとか、
そう言った不安があるんだとしたら、

その辺り、
上手く調整しながら、
大崎の好きなようにやっていいよ。

お前、責任感あるし、
チャレンジ精神もあるし。

会社も女性管理職
増やしたいって言ってるから、
良い機会と思ってチャレンジしてみたらどうだ!?」

(あ、そうだよね・・・)

ハルナは思った。

今はどこの会社も、
女性の管理職比率を高めたくて仕方ない。

だから、
ハルナにも白羽の矢が立ち、
残業やら何やら心配なことは
会社がバックアップするよという
お膳立てをしてくれているというわけだ。

「部長、ありがとうございます。

急なことで、
話の事態が頭に入ってこなくて、
反応が遅れてすみませんでした。

来期ということは、
来年1月からということですか?」

「そうだ。

まぁ、今ある組織を、
分離するような形になるから、
0からの立ち上げではないけれど、

大崎自身は、
プレイングとしての役割が減って、
マネジメントにシフトしていく形になるだろうな」

「あの、
嬉しいんですが、
私、出来ますかね?

いや、やれる自信はあるんですが、
結果だせるように頑張りたいと思いますし、

このお話し、
いつまでにお返事したら
良いでしょうか?

って、人事異動だから、
断る云々の話じゃないですね(笑)」

「お前なら出来ると思うよ。

人事異動だけど、
一応役職が変わるからな。

考えて1週間後までに、
改めて結論聞かせてもらおうかな。」

「はい、わかりました。

ちょっと週末の時間も使って、
しっかり考えてみます。

部長、ありがとうございます。」

同世代の男子なら、
この昇進の話は即答して
受けているんだろうか?

急遽降ってきた、
マネージャー昇格の話。

ハルナの中には、
やりたいもやりたくないもなかった。

やろうと思えばやれるし、
やらない選択肢をとっても、
それはそれで有りだと思っている。

(どうしよう・・・)

選べないのだ、
どっちが良いという
感情が湧いてこない。

なんだか、
自分の人生を傍観者として
ただ見ているだけ。

そんな気分だった。

(次の連載へ続く)

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web集客プランナー。13年半の会社員生活を経て独立し、現在は起業したい女性を対象にした起業サポートと、個人・法人向けにWEB集客、メディア運営のアドバイスにて事業を展開。横浜・みなとみらいエリアにマンションを購入し、大好きな土地でのライフスタイルを実現している。