「大崎ーーー!!!」
月曜朝9時。
廣田部長から呼ばれるわたし。
「はい!」
週明け月曜日、
お客様から届いたメールに目を通して
返信をしている手を止めて、
部長の席に向かってみる。
「大崎、ちょっといいか、会議室。」
(なんだろ、朝から嫌な予感・・・)
節電で薄暗い廊下を通って、
普段応接室に使われている部屋に
廣田部長と入るわたし。
「部長、何のお話しでしょうか?」
(なんだろう?私なんかやらかしたか・・・?)
(もしかして、崇史との関係がバレた!?密告??)
(取引先との関係にうるさいからな、部長は・・・)
(もし聞かれたら、何て言おう。とりあえずしらばっくれるか・・・)
「おい!大崎!!聞いているか!?」
「あ、は、はい、なんでしょうか?」
「あの子のことだよ、
お前のチームの金田さん、あの子大丈夫か??
実はさ、先週金曜日に取引先から会社に電話があって、
担当変えてくれって言われたんだけど、お前なんかあの子から聞いてない?」
「え?金田ですか??
ちょっと私も直帰だったんで、
話しできてないんですけど、
特にそんな話しは・・・」
「だよな、どうやら、前から金田さん自身には、
その取引先から申し入れはしてたみたいなんだけどさ、
そこでちゃんと報告するタイプならこんな話しにはなってないよな・・・」
「あ、ですね、はい。」
「大崎、金田さんには、
大崎から今回の件、事情聞いておいてくれる?
お前のチームメンバーなんだから頼んだよ、じゃ!!」
ーーーー(ぱたん)ーーーーー
応接室のドアが閉まった。
え?なんなんだ?
今の部長の態度は!?
確かに金田さんは私のチームメンバーで、
私は4人のメンバーを束ねるチームのリーダー。
でもさ、
取引先からクレームが来たのは、
廣田部長直々になんでしょう!?
なんで部長は直接金田さんに聞かないわけ?
金田さんが女子だからか!?
入社3年目で、
ちょっとこのまま仕事続けるか悩んでる風で、
確かに部長が接しにくそうにしているのは良くわかる。
でもさ、でもさ、
なんで入社3年目の金田さんは、
部長に「金田さん」とか「あの子」とか呼ばれて、
入社6年目の私は
「大崎」と呼び捨てで、
時には「お前!」と呼ばれるワケ!?
なんなんだ、この格差は!!!!
おいおい、おかしいだろ!!!!
金田さんが金田さんなら、
私だって大崎さんじゃないの!?
ったく、
面倒な役回りを
なんで私がしないといけないわけ?
あぁ、オンナ29歳。
年下の女の子に対して、
こうやってお小言みたいなことを言わなきゃの役割を
何故か部長から命じられる・・・。
「お前はオンナに見えないもんなー」とか、
「男にまぎれててもわかんないよなー」とか、
そういう風にしてるの、
職場にいる男たちだからね!!
あぁ、めんどくさい・・・。
ちょっと出世すると、
オンナはこういうポジションになるのかね。
可愛い妻を求めるなら、
こうやって意味不明な役割を
職場でオンナに求めるの止めて欲しいよ、
世の男たちよ・・・。
(はぁ・・・・)
(今日はとりあえず崇史の家に行こう・・・)
(そして定時で上がろう、やってられん・・・)
次の連載に続く。
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