29歳の憂鬱〜東京:三軒茶屋在住、OL大崎ハルナの話〜vol.02




「友達の結婚報告って嬉しいんだけどさ、

今月3人だよ!!
しかも3件が11月と12月の挙式。

披露宴と二次会入れたら、
私合計15万円飛ぶんだけど・・・。
完全ご祝儀貧乏だよ。

崇史、男子の29歳もこんな感じだった?」

8月下旬の土曜日。
昼下がりの13時。

大崎ハルナは、
付き合って2年になる彼氏の川上崇史と
久々に週末デートをしながら、

先週水曜日の出来事を
声荒げに崇史に報告をしていた。

崇史はハルナの5歳上の34歳。

IT系企業に勤めているハルナは、
自社で開発しているサービスの提案で、
崇史が勤める専門商社に仕事で訪問したのが、
崇史と知り合ったきっかけだった。

マーケティング部で課長職をしていた崇史。

最初はお取引先の関係で
やりとりをしていたんだけれど、

仕事に対するスタンスや、
こちらを思いやって仕事を進めてくれる人間性、

そして、
笑った時の目尻のシワ。

ある日の打ち合わせの時に、

「大崎さんって、
なんかツンとしてるけど、
可愛いね」

って言われて、

笑って目尻のシワの見せた時に、
ハルナは崇史に落ちた。

それから2年。

ハルナは、
崇史の会社の担当は離れ、

今は取引先の関係を気にすることなく、
心置きなく恋人同士の関係を続けている。

「俺の時は、まぁ男ってのもあるけど、
29歳で結婚ラッシュ!ってことはなかったよ。

ただ、同級生と付き合ってて、
彼女が29歳ってやつはやっぱり、
29歳で結婚してるやつが多かったかなぁ。

え?ハルナ、
俺も結婚覚悟したほうがいい?」

 

「何、その言い方。

崇史は私と結婚するのが
嫌ってこと??

ひどーい!!」

 

「そんなこと言ってないだろ。

そもそも、
ハルナがご祝儀が大変!って話だったのに、

何で俺がハルナと
結婚したくないって話になるんだよ。

お前、そういうとこ、
普段しっかりしてるのに、
女子っぽいよな。」

そう言って、
崇史は私のセミロングで、
ちょっとだけ茶色く染めた髪を、
くしゃくしゃにしながら撫でる。

ハルナはその崇史の仕草が好きだ。

あー、
愛されているなぁと、
すごく実感する。

幸せな昼下がり。

昼から少しワインも飲んだこともあって、ほろ酔いなのか、
ハルナはいつも以上に崇史の仕草が嬉しかった。

29歳。

結婚願望はあるか?と聞かれると、ある。

けれど、

29歳に結婚したいか?と聞かれると、
まだもう少し自由でいたい、もう少し仕事を楽しみたいと、
ハルナは率直に思っている。

でも、

もしも、
今付き合っている崇史に
結婚して欲しいと言われたらどうだろう?

「私はイエスって言うのかな?
もう少し待って欲しいって言うのかな?

もしまだ結婚しないと言うのなら、
私は菜々子とみなみと何が違うんだろう?」

ハルナには、
自分の心の声に
答えが出せなかった。

オンナ、29歳。

結婚という選択が、
オンナ同士が交われない、
二つの道に分けていく。

次の連載に続く。

【関連記事】

29歳の憂鬱〜東京:三軒茶屋在住、OL大崎ハルナの話〜vol.01

2017.08.20









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ABOUTこの記事をかいた人

webコンサルタント。13年半の会社員生活を経て独立し、現在は個人・法人向けにWEB集客、メディア運営のアドバイスにて事業を展開。横浜・みなとみらいエリアにマンションを購入し、大好きな土地でのライフスタイルを実現している。